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血小板減少症

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Q1

Q1.血小板とは?

  • 血小板は、血液を固まらせる作用のある細胞です。血管が傷ついて破れたときに血小板が集まって穴をふさぎ、出血を抑えます。

  • 血小板の機能には、粘着能、凝集能、放出能があります。

  • 粘着能:コラーゲンに血小板がくっつく性質です。血管に穴が開くと、血管壁の構成成分であるコラーゲンが露出し、そこに血小板がくっつきます。血小板がコラーゲンにくっつくにはフォン・ヴィレブランド因子が必要です。

  • 放出能:コラーゲンに粘着すると血小板は活性化され、血小板内に蓄えられている物質を細胞外に放出します。その物質には、血小板を活性化するものが含まれ、血液を流れてきた血小板を活性化します。

  • 凝集能:活性化した血小板どうしがくっつき合い血小板の塊を作る性質です。多数の血小板が凝集することで、血管に開いた穴をふさぎ出血を止めることができます。

  • 血小板は出血を抑えることが本来の働きですが、血管の内壁に酸化LDLが蓄積してプラークができ、その表面が破れると血小板の粘着、放出、凝集がおこり、血栓を形成します。心筋梗塞や脳梗塞はこのような機序で発症します。破れにくいプラークを安定プラーク、破れやすいものを不安定プラークとよびます。

Q2.血小板減少症とは?

  • 血小板減少症とは、血小板数が15万/μLを下回る状態です。

  • 重症度は、血小板数により以下のように定義します。

    • 10~14.9万:軽症

    • 5~9.9万:中等症

    • 5万未満:重症

  • 血小板減少により出血のリスクが高まりますが、血小板数のみから予測することはできません。減少速度(急性・慢性の別)、原因、血小板機能低下や血液凝固機能異常の有無、血管脆弱性などを考慮する必要があります。

  • 血小板が減少する機序には、以下があります。

  • 偽性血小板減少症:採取された血液は抗凝固薬の入った試験管に注がれます。血小板が抗凝固薬に反応して凝集するために血小板数が減少する状態です。

  • 産生障害:様々な原因により血小板産生が抑制された状態です。抗腫瘍薬による薬剤性血小板減少症や急性白血病など骨髄不全をきたす血液疾患が原因となります。

  • 破壊:血小板に対する抗体ができ、抗体が血小板に付着して破壊するため、血小板数が減少します。免疫性血小板減少性紫斑病がその代表的疾患です。

  • 消費:何らかの原因により過剰に血栓が形成されることにより血小板数が減少します。播種性血管内凝固、血栓性血小板減少性紫斑病がその代表的疾患です。

  • 分布異常:血小板の1/3は臓に蓄えられています。臓が腫大すると、血小板の蓄えが増え、血小板数が減少します。

  • その他:感染症、血球貪食症候群など

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Q3.血小板減少症の症状は?

  •  血小板が減少することで現れる症状は出血です。血小板減少症の原因によっては、出血以外の症状が現れることがあります。

  • 出血症状としては、皮膚への出血(紫斑)、粘膜出血(鼻出血、口腔粘膜出血)、過多月経、血尿、消化管出血(下血、タール便)、肺胞出血(血血、呼吸困難、咳)、脳出血(頭痛、意識障害、麻痺)などがあります。

  • 紫斑には、点状出血斑状出血があります。

  • 点状出血:直径3mm以内の赤~紫色の皮疹で毛細血管の破綻による出血が原因です。平らで触ることはできず、圧迫により消退せず、痒みや痛みもありません。複数が融合して3mm以上になることもあります。高度の血小板減少を示唆する所見です。

  • 斑状出血:通常、直径1cmを超える紫色の皮疹で主に皮下での出血が原因です。外傷によるもの以外は痛みはなく、圧迫による消退もありません。静脈の破綻による出血や血液凝固機能異常を示唆する所見です。

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Q4.どのように診断しますか?

  •  多発する点状出血を認める場合、高度な血小板減少を疑います。点状出血に加えて、斑状出血が顕著に認められる場合、高度な血小板減少と血液凝固能異常が合併している可能性を疑います。

  • 血小板数を測定します。血小板減少が15万/μL未満で血小板減少症と診断します。

  • 偽性血小板減少症であるか否かを検討します。末梢血塗抹標本を作製して、血小板凝集の有無を確認します。血小板凝集が認められれば、偽性血小板減少症と診断します。さらにEDTA依存性か冷式血小板凝集素症かを鑑別します。

  • 家族歴、既往歴、服薬状況を把握し、先天性、家族性、薬剤性の可能性がないかを検討します。

  • 血小板減少症の診断に有用な検査:偽性血小板減少症や先天性、家族性、薬剤性の可能性がないか低い場合、以下の検査を行います。

    • PA-IgG:血小板表面に付着するIgGで免疫性血小板減少性紫斑病で増加します。

    • Dダイマー:血管内で凝固系が活性化され、血栓ができると増加します。播種性血管内凝固では、フィブリノーゲン減少ともにDダイマーが増加します。深部静脈血栓症や大動脈瘤でも増加することがあります。

    • 抗リン脂質抗体:抗カルジオリピン抗体IgG/IgM、抗カルジオリピンβ2グリコプロテインI複合体抗体IgG/IgM、ループスアンチコアグラントの総称で、抗リン脂質抗体症候群で陽性となります。

  • 貧血が合併する場合には、エバンス症候群、血栓性血小板減少性紫斑病の疑いがあり、溶血性貧血の有無を確認する必要があります。

    • 溶血性貧血の検査:網赤血球数、末梢血塗抹標本(破砕赤血球の確認)、総ビリルビン、直接ビリルビン、LD、ハプトグロビン、尿潜血、尿沈、直接クームス、寒冷凝集素

    • 破砕赤血球:末梢血塗抹標本の検鏡で確認します。血栓性血小板減少性紫斑病で増加します。

    • PA-IgG:温式抗体による自己免疫性溶血性貧血と免疫性血小板減少性紫斑病が合併する疾患としてエバンス症候群があります。

    • ADAMTS13活性:フォン・ヴィルブラント因子多量体を分解し、血栓形成の制御に関わる酵素です。血栓性血小板減少性紫斑病では活性値が10%未満に低下します。

Q4

Sagami Himawari Healthcare College

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内容を引用する際には、「さがみひまわり健康大学ホームページより引用」と記載してください。

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