さがみひまわり健康大学
骨髄異形成症候群の治療②
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Q1.レブラミドとは、どんなお薬ですか?
- 5番染色体長腕部欠失を伴う低リスクMDSではレブラミド(レナリドミド)の内服治療を行います。レブラミドは、サリドマイドの誘導体で、多発性骨髄腫の治療薬として開発された薬です。
- レブラミドカプセル5mg、1回2カプセル、1日1回を21日間連日内服し、7日間休薬。これを1サイクルとして繰り返す。
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海外の臨床試験によれば、レブラミドにより赤血球輸血依存から離脱できた割合は、5mgを服用した患者群が41.3%、10mgの患者群が56.1%、プラセボを服用した患者群では5.9%であり、レブラミドの明らかな有効性が確認されています[1]。
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5番染色体長腕部欠失を伴うMDS以外の病型、5番染色体長腕部欠失があっても他の染色体異常を伴っているもの、高リスクMDSに分類される場合は効果が期待できません。
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血小板数が2.5万/μL未満、または、好中球数500/μL未満となった場合には、服用を中止します。血小板数が5万/μL以上、好中球数が500/μL以上に回復したら、用量レベルを1つ下げて再開する。
[1] DOI 10.1182/blood-2011-01-330126.
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副作用として、深部静脈血栓症(6%)、肺血栓塞栓症(3%)、脳梗塞・一過性脳虚血発作(1.5%)、骨髄抑制:好中球減少(40%)、血小板減少(19%)、貧血(20%)、発熱性好中球減少症(2%)、感染症(22%):肺炎、敗血症、B型肝炎ウイルスの再活性化、進行性多巣性白質脳症(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群・中毒性表皮壊死症(0.1%)、アレルギー・アナフィラキシー(頻度不明)、間質性肺炎(0.2%)、末梢神経障害(6%)、肝機能障害(5%)、腎障害(2%)、便秘(21%)、疲労(21%)などがおこることがあります。
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これらの副作用を早期に発見するため、投与開始後、しばらくの間は、週1回から2週に1回の血液検査が必要です。また、定期的に尿検査、胸のレントゲン、心電図検査を行う必要があります。
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患者さんの病状によって、抗血小板薬や抗凝固薬を内服していただくことがあります。
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治療終了後1年間はB型肝炎ウイルスの再活性化の危険があります。定期的な血液検査が必要です。
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催奇形性のある薬です。妊娠可能な女性の場合には、服用開始前に3回(4週前、3日前、直前)、治療中は4週毎、服用を終了する場合には、終了時と終了4週後に妊娠検査を行います。性交渉を行う場合には有効な避妊法を確実に実施してください。男性の場合、精液に移行するため、服用終了後4週間まで有効な避妊法(コンドームの着用)を確実に実施してください。診察の際には、避妊の遵守について確認させていただきます。
Q2.ビダーザとは、どんなお薬ですか?
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高リスクMDSの患者さんの治療薬です。輸血依存性の低リスクMDSの患者さんにも使用することがあります。細胞に取り込まれてたんぱく質の合成を抑え、細胞死を促します。また、DNAに組み込まれてDNAのメチル化を抑制し、がん抑制遺伝子の発現を促して細胞増殖を抑制します。
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ビダーザ75mg/m(体表面積)(概ね100~150mg)を1日1回、7日間皮下注射 ないし10分間かけて点滴静注し、3週間休薬。これを1サイクルとし、繰り返す。最低6サイクル行い、効果があれば、可能な限り継続する。
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以下の表に従って投与量の調節をします。
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国内臨床試験では、55%の患者に血液学的改善が、海外臨床試験(AZA-001試験)では、従来の治療と比べて生存期間の延長が認められました。
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副作用として、骨髄抑制:好中球減少(発熱性好中球減少症を含む)(50%)、血小板減少(33%)、貧血(14%)、リンパ球減少(5%)、感染症:肺炎(12%)、敗血症(4%)、出血:脳出血(頻度不明)、頭蓋内出血(頻度不明)、消化管出血(0.3%)など、間質性肺疾患(頻度不明)、心障害:心房細動(1.3%)、心不全(0.9%)、アレルギー・アナフィラキシー(頻度不明)、肝機能障害(5%)、腎不全(0.7%)、腎尿細管性アシドーシス(頻度不明)、低血圧(1.5%)、腫瘍崩壊症候群(0.3%)、食欲減退(10%以上)、悪心・嘔吐(10%以上)、便通異常(便秘・下痢)(10%以上)、注射部位の発赤など(10%以上)、頭痛・めまい(1~10%)、味覚異常(1~10%)、口内炎(1~10%)、発疹・掻痒症(1~10%)などがおこることがあります。
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これらの副作用を早期に発見するため、投与開始中は、2~3日に1回、投与終了後の休薬期間は、週1回の血液と尿の検査が必要です。また、各サイクル開始前には、血液と尿の検査、胸のレントゲン、心電図検査を行う必要があります。
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注射の前には制吐薬の内服を行います。
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カイトリル錠2mg、1回1錠、ビダーザ投与の30~60分前に内服
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