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百日咳

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Q1

Q1.百日咳とは?

  • 百日咳とは、けいれん性咳発作を特徴とする急性呼吸器感染症で、Bordetella pertussis(百日咳菌)の感染によっておこります。

  • 全年齢で感染する可能性がありますが、乳児期に感染すると重症化して肺炎や脳炎となって死に至ることがあります。思春期以降では、症状は比較的軽く非典型的であり、感染源となって周囲に感染を拡大させる可能性があります。65歳以降では、重症化する危険性が高くなり、注意が必要です。

Q2

Q2.百日咳に特徴的な症状とは?

  • ​感染してから7~10日して発症します。百日咳菌は感染力が強いと言われますが、感染しても約半数は無症状です。

  • 典型的には、症状の経過は以下の三期に分類されます。

    • カタル期(発症から1~2週間):鼻汁、倦怠感、軽度の発熱、軽い咳といった感冒症状を呈する時期です。特徴的な症状に乏しく臨床症状から百日咳を疑うことは困難ですが、流涙、結膜炎症状を伴う場合、百日咳を疑います。

    • 咳期(2~3週間持続):けいれん性の咳(咳)が発作的に出るようになります。これは、1回の呼気時に短い咳が連続的におこり、続いて、息を吸う時に笛の音のようなヒューという音(笛声:whoop)が出ます。この様な発作のくり返しをレプリーゼとよびます。しばしば、咳によって失神や嘔吐が誘発されます。発熱はないか、あっても微熱程度です。顔面の静脈圧が上昇し、顔面浮腫、点状出血、眼球結膜出血、鼻出血などが見られることもあります。非発作時は無症状ですが、笑う、あくびする、蒸気を吸い込むなど、何らかの刺激で発作が誘発されます。咳は夜に悪化します。

    •  回復期(2~3週間持続):激しい発作は次第に減衰していきますが、その後も時折忘れた頃に発作性の咳が出ます。回復するまで約2~3か月かかることがあります。

  • 合併症として、肺炎や中耳炎があります。激しい咳により、結膜出血、肋骨骨折をきたすこともあります。重大なものとしては、頭蓋内出血や頸動脈や椎骨動脈の解離が生じて脳梗塞を発症することもあります。

Q3.どのように診断しますか

  • ​臨床診断

    • カタル期に百日咳を疑って診断することは困難です。流涙、結膜炎がある場合には、百日咳を疑いますが、アデノウイルス感染症でも同様の症状を呈します。

    • 咳期には、発作性吸気時笛声、夜間に悪化する咳、咳誘発嘔吐、無熱ないし微熱といった特徴的な症状があります。2週間以上続く咳で、原因と考えられる他疾患がなく、発作性咳、吸気時笛声、咳誘発嘔吐のいずれか1つ以上が認められれば百日咳と診断します。

    • 流行期や百日咳患者との濃厚接触がある場合、2週間以上続く咳のみで百日咳と診断します。上記の臨床的特徴の有無は問いません。

  • 検査としては、培養検査核酸増幅検査血清学的検査があります。咳発症からの時期によって適切な検査が異なります。

    • 咳発症から2週以内:培養検査と核酸増幅検査を行うことが推奨されています。

    • 咳発症後2~4週:培養検査と核酸増幅検査が推奨されていますが、培養検査で百日咳菌が検出される頻度は低くなります。

    • 咳発症後4~8週:血清学的検査を行います。

  • 培養検査、核酸増幅検査で百日咳菌が検出されれば、診断は確定します。

  • 培養検査で検出されれば薬剤感受性試験を行い、薬剤耐性の有無を確認します。近年、マクロライドという抗菌薬に耐性を持った百日咳菌が増加しており、抗菌薬が効かず重症化する症例が報告されています。

  • 核酸増幅検査で陽性であれば診断は確定しますが、薬剤耐性の有無は確認できません。

  • 血清診断では、抗百日咳菌IgM抗体、IgA抗体を測定します。いずれかが陽性であれば、可能性が高いと診断します。両方とも陰性であれば、抗百日咳毒素(PT)IgG抗体を測定します。100EU/mL以上であれば可能性が高いと診断します。10~99EU/mLでワクチン接種歴がなければ可能性が高いと判断します。

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Q4. どのように治療しますか?

  • 原則として、マクロライド系抗菌薬(クラリスロマイシンないしアジスロマイシン)の内服治療を行います。マクロライド系抗菌薬が使用できないあるいはマクロライド耐性菌の感染に対しては、スルファメトキサゾール・トリメトプリム(ST)合剤を処方します

    • クラリスロマイシン200mg、1回1錠、1日2回、朝・夕食後、7日間

    • アジスロマイシン250mg、1回2錠、1日1回、3日間

    • ST合剤(バクタ)、1回2錠、1日2回、14日間

  • 咳発症から3週以内では、抗菌薬の内服治療を行います。抗菌薬治療によっても臨床経過の改善はあまり期待できませんが、他者への百日咳菌の伝播を抑制する効果があります。

  • 咳発症から3週以降では、抗菌薬治療を行う患者は以下に限られます。ただし、咳の発症から6週を過ぎている場合には、対象にはなりません。

    • 妊婦

    • 65歳以上

    • 気管支息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)

    • 免疫抑制状態

  • カタル期では百日咳と診断することは困難ですが、百日咳の患者との濃厚接触があった場合や流行期では、特徴的な症状の有無に関わらず臨床的に診断して抗菌薬治療を行います。

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Sagami Himawari Healthcare College

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内容を引用する際には、「さがみひまわり健康大学ホームページより引用」と記載してください。

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