さがみひまわり健康大学
食事療法:鉄欠乏性貧血
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Q1.食事療法で貧血は治りますか?
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基本は鉄の補充です。鉄剤の内服、注射、食事療法があります。
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まず、内服治療を行います。経口鉄剤に副作用がある方や高度な貧血の方は、注射を行います。
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食事療法は、鉄欠乏を防いで貧血になりにくくするために行います。食習慣をつけるため、薬物治療中にも行っていきます。貧血が改善した後も継続することが重要です。
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これらの治療と並行して出血の原因を調べ、可能な限り原因に対する治療を行います。
Q2.鉄分の多い食材はなんですか?
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食品中の鉄には、ヘム鉄と非ヘム鉄があります。ヘム鉄は動物性食品に、非ヘム鉄は植物性食品やサプリメントに含まれます。ヘム鉄の吸収効率は50%、非ヘム鉄は15%であり、ヘム鉄を多くとるとよいでしょう。
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代表的な鉄分の豊富な食材を表に示します。
Q3.1日どれくらいの鉄分をとったらいいのでしょうか?
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推奨される摂取量は右の表のように年齢、性別により異なります。
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表に鉄推奨量は、非ヘム鉄を摂取することを考えて、吸収効率を15%とした場合の量が示されています。したがって、ヘム鉄(吸収効率50%)を主として摂取する場合には、ここに示された量より少なくてもよいと思います。吸収効率は個人差があるので推奨量の1/2程度とするのが無難でしょう。
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この表から1日に必要な鉄摂取量を決めます。3食合わせて推奨量となるようにします。
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例えば、30歳女性で月経のある方は10.5mgです。食材100g中の鉄含有量の表を参考にして、実際に食べる量を考えて計算していきます。1食あたりの目安としては、
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豚レバー80g:110.4mg
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焼き鳥レバー1串(80g):7.2mg
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まぐろ刺身5切(30g):0.6mg
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卵黄1個:1mg
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小松菜半束(100g):2.8mg
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納豆1パック(50g):1.7mg
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生揚げ(厚揚げ)半丁(75g):2mg
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摂取量の上限は成人男性50mg、成人女性40mgとなっています。普通の食事では過剰に摂取すなることはまずありません。過剰に摂取しても、吸収されなくなるので、鉄がどんどん蓄積することは、通常ありません。
Q4.鉄分の吸収や造血を促進する食材、阻害する食材にはどのようなものがありますか?
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鉄の吸収をよくするビタミンCや造血に必要なビタミンB12、葉酸が豊富な食品をいっ しょに食べます。
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ビタミンCは、菜の花、赤ピーマン、ブロッコリー、柿、ゴールデンキウイ、いちご、ネーブルオレンジ、はっさくなどに多く含まれます。水に溶けやすく、熱に弱いので調理の際は気を付けましょう。
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ビタミンB12は、鶏レバー、豚レバー、牡蠣、あさり、サンマ、鯖などに多く含まれ ます。
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葉酸は、菜の花、枝豆、モロヘイヤ、ブロッコリー、ほうれん草、春菊、豚レバー、 鶏レバーなどに多く含まれます。水に溶けやすく、熱に弱いので調理の際は気を付けま しょう。
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鉄の吸収を阻害する食べ物
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緑茶、紅茶、コーヒーのタンニン・カフェイン:食事中や直前・直後の摂取は避け ましょう。
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ほうれん草に含まれるシュウ酸:十分あく抜きしましょう。
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大豆や玄米の皮に含まれるフィチン酸:摂取を控えるか、発芽玄米を食べるように するとよいでしょう。
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